八重樫の目①~消費者契約法改正~

      2016/10/24

こんにちは!八重樫です。

いつも外出先の話をするだけではアレですので、たまには真面目な話もしようと思います。

ここでは、私の別事業とも関連する法令関係の話をしていこうと思います。

今回のテーマは、「消費者契約法改正」。

 

今年5月25日に成立した「消費者契約法の一部を改正する法律」。

公布は今年6月3日、施行は公布から1年となっています。

今回注目したいのは、「不実告知」による契約の取消しです。

消費者契約法第4条第1項及び第2項に定められています。

第1項はいわゆる「不実告知」、第2項は「事実の不告知」にあたる類型です。

これらは、「重要事項」について「事実と異なることを告げる」、または「重要事項」について「不利益となる事実を故意に告げない」ことがあれば消費者はその契約を取り消すことができるというものです。

 

今回の改正で、この「重要事項」の範囲が拡大される(=契約を取り消すことができる範囲が拡大される)ことになりました。

どこまで拡大されるのかは、これから具体的な事案や判例を待たなければならないところですが、とある資料には次のケースが紹介されています。

 

(例)
家屋の売買契約について、床下にシロアリがおり、それにより家屋が倒壊した。

改正前の規定では、重要事項=契約の目的物とされており、上記のケースであれば重要事項=家屋に関する事項でした。

つまり、床下にシロアリがいることは家屋に関する事項ではなく、重要事項にはあたらなかったのです。

しかし、改正後は重要事項には「消費者の判断に通常影響を及ぼす事項」も含むとされており、そうなるとシロアリに関する事項は重要事項となる可能性が高くなります。

 

不動産の売買と消費者契約法に関する判例はいくつかあります。

東京地判平24・3・27(買主が、売主業者の不利益事実の故意の不告知により、「誤認」して契約したものであるとして契約の取り消しを認めた事例)
などです。

不動産投資に関わる事項がどこまで「重要事項」として含まれるか、また「不利益事実の故意の不告知」がどこまで認定されるかは、私たちにとってもかなり深刻な問題だと思われます。

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