八重樫の「眼」④~貸切バス事業許可の更新制導入~
こんにちは!八重樫です。
今年の4月1日から、ある業界が戦々恐々としてる制度が導入されます。
ある業界とは・・・皆さんもよく利用する「観光バス」業界です。
今回の八重樫の「眼」は、「道路運送法改正」。
昨年12月に成立した道路運送法の一部を改正する法律のうち、貸切バス事業許可の更新制の導入については、今年の4月1日より施行されます。
なお、「道路運送法」とは、運送業のうち、旅客運送業すなわち「人」を運ぶ運送業を規制する法律です。
旅客運送業は、
「一般乗用」(いわゆるハイヤー・タクシー)、
「一般乗合」(いわゆる路線バス)、そして
「一般貸切」(いわゆる観光バス)があります。
近年、相次ぐ交通事故をきっかけとして、運送業の規制が厳しくなっています。
例えば、2005年(平成17年)のJR福知山線脱線事故。
これを代表とする一連の旅客輸送事故により導入されたのが、「運輸安全マネジメント制度」。
貨物の運送事業者に関しては、一部任意の導入となっているものの、旅客運送事業者は全事業者が導入を義務付けられています。
しかし、観光バス(貸切バス)による大事故は無くならず、
2012年(平成24年)の関越自動車道バス事故、
そしてまだ記憶に新しい昨年1月の軽井沢スキーバス転落事故。
相次ぐバス事故を受け、ついに貸切事業許可が更新制になりました。
更新制の詳細はここでは割愛しますが、更新の期限について少し触れてみます。
一応、5年に一度の更新となっていますが、制度が始まる平成29年4月1日からヨーイドンではありません。
許可を受けた日から5年毎だったと仮定して、平成29年4月1日からおとずれる最も早い日が初回の更新期限になります。
どういうことかというと・・・
許可を受けた日→2000年4月1日
5年毎に更新があったと仮定すると、更新日は次のとおり。
2005年、2010年、2015年、2020年・・・。
その中で平成29年(2017年)以降に初めておとずれる日なので、この場合は2020年4月1日が初回更新期限となります。
勘の良い方だと、すぐにこのことに気付くかもしれません。
「すぐ更新しなければならない会社があるのでは?」
そのとおりです。
例えば、2012年4月1日に許可を受けた事業者の場合、5年後の2017年4月1日、つまり新制度導入と同時に更新期限が来ます。
この場合、経過措置として、同年6月30日まで一定の書類提出期限の猶予があるようです。
このことを知らない事業者が結構あるみたいで、これからかなりの混乱がおとずれるのではないかと予想しています。
とはいうものの、本来更新のない許可、という方がおかしかったのではないかという向きもあります。
我々宅建業者は5年に一度(過去は3年に一度)、建設業者も5年に一度です。
旅客運送という、人の命に関わる重大な責任を負う事業。
現場は大変でしょうが、今回の改正により防げたはずの重大事故がまた起こることのないよう、良い方向に進むことを願います。