八重樫の「眼」⑥~民法改正と不動産投資~

   

こんにちは!八重樫です。

120年ぶりに民法が改正されました。

改正民法の公布日は今年の6月2日。

施行日は公布の日から3年以内ということで、2020年頃かと言われています。

今回の改正の目玉は、「債権法」。

その中には賃貸借契約も含まれており、不動産投資家の方々にとって重要な改正となります。

今回の八重樫の「眼」は、「民法改正と不動産投資」。

 

120年ぶりの改正、と言いましたがいつ以来の改正かというと・・・。

 

明治29年(1896年)。

 

なんと民法の制定年です。

制定以来の大改正となります。

大きな改正点はいくつかあるのですが、今回は特に「賃貸借契約」に関わる部分の改正をご紹介しようと思います。

≪不動産投資家が知っておくべき改正点≫

1 敷金返還・原状回復ルールの明確化

この点については、過去の判例の蓄積や国交省のガイドラインがあり、基本的にはそれらを明文化したことになります。

ただ、明文化の効果は一定程度ありそうです。

あまり大きな声では言えないのですが、北海道の大家さんは敷金についての認識が古く・・・。

(というか一部の不動産会社は明らかに知ってて敷金全額返さないとかやっている)

これまでの認識で敷金について取り扱っていると、痛い目にあうかもしれません。

 

2 連帯保証人に関するルールの新設

この改正は知っておくと知らないとで大きな違いが出てきそうです。

 

① 連帯保証人(個人)について極度額の設定が義務付けられた

これまでの賃貸借契約書の雛形を使い続けることは危険ですよ!

賃借人の債務につき保証する連帯保証人。

これまでは特に保証する債務の額は定めなくても構いませんでした。

しかし、施行後は「個人の」連帯保証人につき極度額を定めなければならず、定めていない場合は連帯保証条項自体が無効になってしまいます。

ちなみにこの規定は強行規定であり、特約で排除することはできません。

大手の不動産会社に賃貸を任せている不動産投資家は大丈夫かもしれませんが、自主管理や小さい不動産会社に任せている投資家は要注意です。

なお、この問題について対策をとるとすれば、家賃保証会社の活用が考えられます。

今回の改正では、あくまで「個人の」連帯保証人となっており、法人の連帯保証人については引き続き極度額の設定は不要だからです。

 

② 連帯保証人への情報提供義務の新設

これは「事業用不動産の賃貸借」の場合に限られます。

賃借人から連帯保証人に対し、定められた項目について情報提供をさせ、それをもって連帯保証をするかどうか判断させるためです。

情報提供の対象となる項目には、

「賃借人の財産状況」

「賃借人の収支の状況」

「賃借人の他の債務の有無及び額、支払状況」

などがあります。

ちなみにこれも法人の連帯保証人の場合は適用されません。

 

③ 連帯保証人からの問い合わせに対する貸主の回答義務の新設

貸主は、連帯保証人から賃借人の家賃支払状況に関する問い合わせがあった場合は、これに回答する義務が設けられます。

「個人情報だから」という理由で拒むことはできません。

また、滞納などで期限の利益を喪失した場合は、連帯保証人に通知しなければならず、

これを怠ったときは、連帯保証人に遅延損害金を請求できなくなるおそれがあります。

 

以上のように、特に連帯保証人に関する改正が不動産賃貸借に大きな影響を与えそうです。

2①②について、連帯保証人が法人の場合は適用されないため、今後は連帯保証人を家賃保証会社にするというケースがより増えてくることでしょう。

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