法的視点からみる新元号の使用について
2019/05/13
こんにちは!八重樫です。
この記事を書いているときはまだ「平成」ですが、皆さんが目にするときはすでに「令和」になっていることと思います。
世間は改元ムード一色の中、ここはひとつ冷静に元号の使い方をみてみようと思います。
4月1日、新元号である「令和」が発表されました。
それからしばらくたって、色々な文書で「令和」が使われているのを目にしました。
例えば契約書。
「平成31年4月1日~令和2年3月31日」とか。
各種催しのお知らせ。
「令和元年5月20日」とか。
こういった文書を見ていると、生来の天邪鬼であるワタクシはこう思ってしまうのです。
「みんな新元号を使いたがっているけど、書類上は実際いつから切り替えれば良いのだろう?」
当然5月1日からは新元号を使いますが、4月1日から30日の間は5月以降の元号をどう表示するのだろう?ということです。
興味のない方はここでそっとブラウザを閉じてください。
これを読んでいるときはすでに令和の世です。平成にすべきか迷う必要はありません!
興味のある方はしばらくお付き合いくだされば幸いです。
まず、結論からいうと
「平成、令和、西暦どれを使ってもOK!」
となります。完全に個人の自由です。好きに使ってください。
しかし、何かしら根拠を求める方は次の法律が参考になると思います。
『元号法』
昭和54年に定められたわずか2条から成る法律。
ここにはこう書かれています。
「1 元号は、政令で定める。」
「2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」
2に注目です。
「皇位の継承があつた場合に限り」とあります。
ということは、まだ皇位が継承されていない4月の間は元号を改めて使用することはない、と読めます。
そうなんです。
4月のうちから「令和」を用いるのは、元号法的にはフライング!ということです。
とは言え、元号法は特に国民の行動を規制する性質の法律ではありません。
ですので、4月から「令和」を用いてても何ら問題はないのです。
そうなると、次の疑問が生じるでしょう。
「平成32年とか、もう来ないことがわかっている表現を使うのはおかしいじゃないか!」
その気持ちはもっともです。
しかし、これについても各行政機関には内閣府から通達が出されています。
「5月1日以降、平成と表記されているものは令和に読み替えること」と。
つまり、「平成32年」と表記されていても、それは「令和2年」と読み替えるので問題ありませんよーということです。
ということでまったくおかしいことではないんですね。
これもあくまでも行政機関に対する通達ですので、国民がどうしようが何ら問題はありません。
さて、最後に、「だったら西暦を使うのが一番わかりやすい!」という西暦派のアナタ。
まったく間違っていません。それも正解です。
ネットで調べると、何やら「公文書の年表記に関する規則」というものがあるらしく、それには「公文書の年表記については、原則として元号を用いるものとする」とあるらしいです。
しかし、この規則、オフィシャルの出典が見当たらず、本当に存在するのかイマイチはっきりしません。
仮にあったとしても、これはあくまでも公文書に関する規則ですので我々が作成する文書には適用されないことは明らかです。
つまり、改元まで新元号を使おうが旧元号を使おうが、はたまた西暦を使おうが完全に個人の自由です。
ここまで読んで頂いてナンですが、結論は「どれ使ってもイイヨ」・・・。
どう感じるかは皆さん次第ですが、何らかの理屈を求めたい方は是非参考にしてくだされば幸いです。