仲介の、その後
ごぶさたしています。
周東です。
元気です。
常々考えていることですが、不動産のような極めて高額な資産の売買を担うということは、その結果が関わる方の人生を左右するという意味では、お客様から絶対的な信頼をもって任され、かつその期待を裏切らないということが暗黙のルールです。
自分が依頼する側だったら、財産を委ねる不動産のエージェントは、生死を委ねる医師と同等に信頼を寄せられる相手であって欲しいと思います。
そういう前提のもとで、ウェルトではお客様との間で「点」ではなく「線」でお付き合いすることを心掛けています。
売買仲介はともすると「点」での関わりで終わってしまう場合が多いのですが、お客様が望む限りその後も継続してご相談相手になりたいと願っています。
また、不動産の購入や売却は、売買して終わりということは少ないと思います。
例えば、土地を購入するのは建物を建築するなどの利用が前提の場合がほとんどですし、収益不動産にあっては購入から賃貸経営が始まります。
そういうとき、建築工事や賃貸管理というかたちで直接かかわることはなくとも、各種専門家へのつなぎ役や我々がもつ知見をご提供することで継続的に支援させて頂く場合があります。
反対に売却の際も、売却代金をどうしていくかを考える必要があります。
投資を検討したり、次世代への承継(相続)を見据えて戦略を立てる必要があるかもしれません。
これも当社では包括的にコンサルティングできる体制を整えていますので、「売って終わり」ではない将来に向けたお手伝いが可能です。
実際の例をお話します。
古くからのお客様からのご紹介で、ご高齢のため資産整理を目的としてご自宅の隣地(建物あり)を売却したい、という個人の方のご相談をお受けしました。
立地は良いものの、いわゆる「旗竿地」であり、そのままでは既存不適格となり売却できないため、敷地を分筆したうえで一部を位置指定道路にする必要がありました。
また自宅に隣接しているということで、売却相手は慎重に検討する必要もありました。
そこで、お客様(売主様)とご相談のうえ、既存建物は解体し、分筆と位置指定申請を行ったうえで売却を行うこと、また売却先には購入目的や人となりが安心できる相手を選ぶ、という方針になりました。
まず、当社で残置物の撤去処分業者や建物解体業者を手配して更地化し、建物滅失登記もサポートしました。
その後、測量会社と土地家屋調査士を手配して分筆を行い、そのうえで市に対して道路の位置の指定を申請して、決定を受けました。
そしてようやく売出しを開始し、少々時間はかかりましたが、賃貸アパートを建てたいという地元の建築会社様から購入の申し入れがあって、代表者様とも現地でお会いするなどしたうえ、条件面でも売主様はご納得されたため、ほどなく成約となりました。
位置指定道路は私道ですから、道路部分等の使用に関する協定書も作成しました。
また第三者所有の隣地との間で複数のブロック塀の越境が確認できたため合意書を調えました。
契約から決済引渡しまで双方とも終始協力的で、売主様にとっても買主様にとっても満足感のあるお取引であったかと思います。
さらに、売主様からは売却に付随して、次のご心配があることをお聞きしていました。
① 売却による納税申告をどうしたらよいか
② 売却益を含めて自らの資産を子供たちへ争いなく相続させたい
そこで、①については、不動産に強く確定申告を積極的に受けている税理士事務所をご紹介し、不動産売却にかかる必要書類の共有を当社でお手伝いしました。
また②については、関連会社の行政書士法人エニシアにて遺言と同居のお子様との任意後見契約のご提案をし、検討の結果公正証書遺言の手続を行うことになりました。
以上の一連の流れを通して、売主様からは「(当社に)任せて本当に良かった」という感謝のお言葉を頂きました。
また、買主様は購入後すぐに建築を開始し、その進捗はときどき現地を見て確認していましたが、先頃買主代表者様から「無事完了検査が済んだ」とのお知らせを頂きました。
売買仲介は形の残らない仕事ですが、仲介の先に建物という新しい価値が創造されるのを見るのは、我が事でなくてもとても嬉しいものです。
さらに、この土地を購入できたことや隣地所有者様とも良い関係を維持しながら竣工を迎えられたことは当社のおかげであると、過分なお礼の言葉まで頂きました。
売主様にも買主様にも満足をご提供できたこと、今後も当社との関係を継続したいと思って頂けたことは、紛れもなく当社の目指すところでした。
これからも、このような成果が「特別なことではない」と言い切れるよう、常に内省しつつ、丁寧に、お客様や社会と向き合っていきたいと思います。
手前味噌な話でした。笑