フィデューシャリー・デューティー
2016/10/24
フロントオフィスのシュウトウです。
今日はめずらしくちょっと真面目な話題を。
「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
主に投資信託の分野で用いられてきた用語ですが、資産運用の担い手(受託者)が、投資家(委託者)に対して、真に投資家の利益の最大化を目指した運用が行われるよう、プロとして負うべき責務の概念を指します。
この「フィデューシャリー・デューティー」という概念が、なぜ信託において大事なのか。
金融機関が抱える矛盾や問題点などを掘り下げながら、この概念の重要性を分かりやすく整理した記事が出ていましたのでご紹介します。
森本紀行 「投資を難しくみせておいてから、説明と称して騙すこと」
ここで取り上げられている論点は、そのまま不動産投資にも当てはまります。
不動産投資信託(REIT)はもちろんですが、ここ数年特に注目されているサラリーマン投資家による収益不動産の取得・運用・転売についても、商品提供をする私たち宅建業者は、そもそも顧客の要望をより正確に理解し、ニーズに合致した商品をマッチングしていく努力が求められていますし、ときには顧客の属性や資産状況等に照らして投資そのものを断念すべきと判断されるケースもあるわけで、その判断がその時点で自己利益を損なうものであったとしても、やはり「フィデューシャリー・デューティー」に基づいて行動すべきだからです。
企業が社会に対して負う責任を表す「コンプライアンス」という概念は昨今すっかり定着した感がありますが、企業には「法令を遵守する」という表面的、形式的なあり様は当然として、さらに本質的なレベルで責任を全うすべき積極的かつ具体的な取り組みが求められている、という社会的背景ありますから、「フィデューシャリー・デューティー」という考え方もこの社会的要請の一環と捉えるべきかもしれません。
「信頼」を社是とする弊社として、また「誠実」をモットーとする私個人として、常に意識しておきたい考え方です。